2017年10月3日火曜日

【全話感想】DIVE!!

あらすじ

 坂井知季は幼い頃に見た富士谷要一の美しい水泳の飛込みに魅了され、友人とともにダイビングクラブに通っていた。ある日ダイビングクラブにやってきたコーチ麻木夏陽子は、赤字経営のクラブを立て直すためクラブからオリンピック選手を送り出すという。そして夏陽子の厳しい指導が始まるのだった。
 ある日夏陽子は津軽で海に向かって飛込みをしていた沖津飛沫をクラブに連れてきた。沖津の荒々しい飛込みにクラブのメンバーは圧倒された。要一の完璧な飛込み、沖津のダイナミックな飛込みに比べ自分には何があるのかと考える知季だったが、夏陽子は知季の潜在能力に気づき、7月の選考会のため知季に三回半の練習をさせた。
 厳しい練習メニューをこなす知季にクラスメイトとの遊びの時間は無かった。そして夏陽子が知季に一目置いていることで、大広陵と丸山レイジは知季にムカつきだした。知季の幼馴染で彼女の野村未羽は知らぬ間に知季の弟弘也と付き合っていた。飛込みに打ち込むことで辛いことが次々起こるが、それでも飛込みを続けるのであった―――。

感想

 物語の序盤はクラスメイトや未羽が登場していますが、後半になると全く出てこなくなるんですよね。普通の中学生らしい生活か飛込みか、どちらかしか選べないという非情さを感じます。陵やレイジとの関係も友達ではいられない、いつかは勝負の世界で優劣がつくライバルとなることを自覚しなければならない辺りが精神的に重いですね。
 物語前半で精神的に成長させることで、後半は登場人物がアスリートであるということが際立っていたのではないでしょうか。レイジの「時々思います。6人でやるバレーとか9人でやる野球とか、みんなで戦ってみんなで勝てるスポーツは良いなって」のセリフで、勝てるのは一人しかいないという現実を突きつけてます。そして陵が知季達に勝てないことを悟ってクラブを辞めてしまうのも勝負の厳しさですね。
 物語後半では沖津の腰の問題や要一のオリンピック選考でこの2人の描写が増えますが、このことで知季と要一と沖津の3人がともに切磋琢磨していく関係になっていきます。特に知季は要一を憧れの存在と見ていたのがライバルとして意識するようになるのは大きな変化です。

 ダイバー達が飛込みの練習を頑張っている中、未羽が知季を裏切るのは思っても見なかった展開でした。ヒロイン的なポジで登場していたので精神的に支えるキャラになるんだと思っていたんですが、恋愛と飛込みを両立することはできないと現実を突きつけるキャラ化したのは驚いた。
 でも、この失恋が知季をアスリートに脱皮させるために必要だったという感じはありますね。飛込みを続けるのであればそれ以外を諦めなければならないと自覚したわけですから。

 最終回のオリンピック選考の結果はそこそこ良いシナリオだったんじゃないかなって思います。主人公補正はありましたけど、他のキャラ達同様頑張った結果と受け取っていいでしょう。それ以外にも、ピンキー山田が活躍してきたあたり面白かったかな。
 オリンピック選考が終わった後の練習風景で終わらせたは、蛇足がなく良かったのではないでしょうか。今後の展開として海外選手と戦わせて切磋琢磨させるのもいいですが、これ以上知季達に何を伸ばさせるのかって感じはします。むしろオリンピックでどう活躍してくれるのかなと想像できる終わり方で余韻があったかな。

 彼女を失って成長するところ、3人が問題を抱えつつ切磋琢磨する辺りがスポ根物として良かったんじゃないでしょうか。
 演出次第では星5も行けたと思える脚本でした。星4つですね。
 ★★★★

原作

森絵都
KADOKAWA「角川文庫」刊行

スタッフ

監督:鈴木薫
シリーズ構成:待田堂子
キャラクター原案:ヤスダスズヒト
キャラクターデザイン:谷津美弥子
音楽:林ゆうき、KOHTA YAMAMOTO
アニメーション:ゼロジー

キャスト

坂井知季:梶裕貴
富士谷要一:櫻井孝宏
沖津飛沫:中村悠一
麻木夏陽子:名塚佳織
大広陵:逢坂良太
丸山レイジ:内山昂輝
吉田幸也:小林裕介

シーズン

2017年夏 全12話

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